慰安婦像撤去の訴え、米最高裁によって退けられる

歴史の真実を求める世界連合会(GAHT)は「日本国の名誉を保持し、日本人の名声を不当な蔑みから守ること」を目的に活動している団体で、代表はハーバード大学助教授や筑波大学教授、南カリフォルニア大学教授などを歴任された目良浩一氏です。GAHTはアメリカのカリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦像の撤去を求めて連邦裁判所で裁判を行ってきました。GAHTは「グレンデール市の慰安婦像設置は連邦政府だけが持つ外交権限の侵害だ」と訴えてきました。しかし一審、二審とも敗訴に終わっています。グレンデールの慰安婦像は憲法修正第一条が保障する言論の自由の範囲内であり、連邦政府の外交権を侵害してはいないという判断でした。またそれだけに留まらず、裁判では日本軍が女性の人権を侵害したと認定された上に、この訴えはSLAPP(恫喝的訴訟)だと認定され、罰金まで取られました。
GAHTは資金も逼迫し、かなり厳しい状況だったようですが、それでも最高裁まで上告すると決めました。そして今回は強力な助っ人も登場しました。日本政府です。日本政府は米最高裁判所に対して「請求は認められるべきだ」という意見書を提出して援護射撃をしてくれたのです。それもあって今回こそは勝訴出来るかもしれないという期待は高まっていました。しかし残念なことに3月27日、連邦最高裁判所はこの訴訟を取り上げないと決めました。この裁判はこれで最終的に終止符が打たれたわけです。GAHTにとっても、意見書を提出した日本政府にとっても非常に残念な結果となりました。
この裁判でちょっと興味深いのは訴えの内容です。連邦政府の外交権の侵害というところに焦点を絞っています。普通なら事実と異なることで日本を無用に貶めているなどと主張すべきではないかと思うかもしれません。しかし世界では日本が女性の権利を侵害したと広く信じられており、そうしたことを訴えるのはかえって逆効果になるようです。実際オーストラリアで慰安婦像建設阻止に成功した事例があるのですが、その時はこのような論争がある問題を持ち込んでしまえば、地域社会を分断してしまうだけだと主張したのです。日本でよく言われるように慰安婦はただの売春婦に過ぎないなどと主張したら即座に負けていたと思います。そうした歴史戦を正面から挑んだら負けです。アメリカの訴訟もそれをお手本に別の方面から攻めたのですが、残念ながらこちらは成功しませんでした。
今回の訴訟で一番の収穫は日本政府が本腰を入れてこの戦いに参加してきたことかもしれません。日本政府は国連の人権委員会などでも、ずっと何を言われても反論してきませんでしたが、2016年2月に国連女性差別撤廃委員会に対して、「軍や官憲が直接日本軍『慰安婦』を強制連行したことを証明できる証拠は見当たらない」という答弁書を提出しました。これから政府も地道に慰安婦に対する誤解を解く活動をしていくのではないかと思います。みずほ銀行カードローン 審査時間